さて、お茶碗に入った一杯のお湯。
皆さんは、この「茶碗の湯」をじっくり観察したこと、ありますか?
ウィンターセッション、4・5年生の国語「学力の種」では、
授業のはじめにこの「茶碗の湯」について、
本物のお茶碗に熱いお湯を注ぎ、
何も言わず子どもたちに観察してもらいました。
「茶椀の湯」を観察して、
・気づいたこと
・不思議だと感じたこと
を書きましょう。
さあ、どうだ!?
「熱い」
「湯気が見える」
うんうん、それから?
「・・・・・・」
急に「気づいたことは何か」とたずねられても、
なかなか出てきませんよねえ。
「う〜ん!!」
とみんなに少し悩んでもらってから読んだのが、
読んでいただくとわかるのですが、
この随筆は一杯の「茶碗の湯」を観察するところから始まります。
「湯気が見えるね。これは霧や雲と同じだよ。」
「湯気をもっとよく観察してみると、渦を巻いているね。この渦がもっと大きくなったものが、雹を降らせたり雷を鳴らしたりするんだよ。」
……と、科学的な視点から子どもたちに語りかけるように続いていきます。
書かれたのは今から100年前なのですが、
まったく古びていません。
一杯の「茶碗の湯」から地球全体の気象現象を説明するこの文章に、
子どもたちもみんなびっくり!です。
寺田寅彦さんって、何者!?
そこで、
今度は私たちから寺田寅彦という人について説明し、
子どもたちにはそれをノートにとってもらいます。
・優れた研究を残した物理学者であること。
・夏目漱石の弟子、中でも特に大きな仕事を残した十人を「漱石十哲」と呼びますが、
寺田寅彦もその1人であること。
(ちなみにこれは中国の思想家、孔子の弟子十人を表す「孔門十哲」をもとになっています。
これもまた、この後読む「論語」の伏線です(にやり)!
・学者として、この「茶碗の湯」のように子どもに科学の面白さを伝える随筆をたくさん書いたこと。
・防災についても研究し、「天災は忘れた頃にやってくる」という有名な言葉を残していること。
などなど。
今回のウィンターセッションでは、
このノートをもとに毎回200字の条件作文を書くことを毎回の課題としました。
これは後でテストで覚えているかどうかを問うものではありません。
子どもたちが自分から興味を持ち、面白い!もっと知りたい!と思ったことを書き留める。
それを自分の言葉でアウトプットする。
その習慣をつけてもらうことが目的です。
子どもたちが成長していく中で、
いずれ大きな花を咲かせることを願って。
これが、「学力の種」なのです!