こんにちは!マリン教室国語科担当の齋藤(周)です。
年が明けたと思ったらあっという間に2月になってしまいました。
マリン教室では、すでに新5年生、6年生を対象とした春の講習会
「スプリングセッション」
の準備を進めています。
今回はこのスプリングセッションの予告も兼ねて、
今年度も大好評だった
「ウィンターセッション」
の国語の様子をご紹介しましょう!
ウィンターセッションでは昨年度より、
宮沢賢治の童話、寺田寅彦の科学的な知見をもとにした随筆、
そして故事成語や論語を題材に、
「国語」という教科にとらわれずに様々な知識や教養を身につけ、
自分の頭で深く考える講座を実施しています。
今回、宮沢賢治編で5年生の子どもたちが読んだのは、
「よだかの星」でした。
醜い容姿のために他の鳥たちから嫌われているよだかは、
鷹から「名前を改めろ」と迫られます。
「醜い嫌われ者のくせに、自分と同じ<たか>を名乗るのはけしからん」
と言うのです。
「鷹さん。それは無理です。」
「無理ぢやない。おれがいい名を教えてやらう。市蔵(いちぞう)といふんだ。市蔵とな。いい名だらう。そこで、名前を変えるには、改名の披露(ひろう)といふものをしないといけない。いいか。それはな、首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、私は以来市蔵と申しますと、口上(こうじやう)を云つて、みんなの所をおじぎしてまはるのだ。」
「そんなことはとても出来ません。」
「いいや。出来る。さうしろ。もしあさつての朝までに、お前がさうしなかつたら、もうすぐ、つかみ殺すぞ。つかみ殺してしまふから、さう思へ。おれはあさつての朝早く、鳥のうちを一軒(けん)づつまはつて、お前が来たかどうかを聞いてあるく。一軒でも来なかつたといふ家があつたら、もう貴様もその時がおしまひだぞ。」 ※( )はルビ
今回ももちろん旧仮名(歴史的仮名遣い)で読んでいますよ。
さあ、第一回目はここまで!
「ええ、ひどい……」
「かわいそう!」
と心配する子どもたちに出した宿題は200字の条件作文です。
お題はこちら。
【問題】 宮沢賢治「よだかの星」を読んで答えなさい。
あなたは、よだかの友だちです。
「名前を市蔵に改めろ」と言われたよだかに、あなたはどんなアドバイスをしますか。
アドバイスの内容と、その理由を書きなさい。
さあ、どうする?
みんな一生懸命考えてきてくれましたよ。
「そんな意地悪な鷹になんか絶対負けるな!」
「神様からもらった名前は大切にするべきだよ。」
という意見もあれば、
「鷹に殺されるぐらいなら、名前を変えたほうがいいんじゃないかな……」
「鷹の来られない遠いところに逃げよう。」
という子も。
もちろん、この課題に「正解」はありません。どの意見もとてもよくわかります。
そんな中、Yさんは次のような「作戦」を考えました。
私がよだかにアドバイスするなら、「首によだかと書いたふだをぶらさげて、みんなの所をまわればいいんじゃない」と言います。
なぜなら、鷹は一軒ずつまわって、よだかが来たかどうかだけ聞いて歩くと言いましたが、名前を変えたかどうかまでは、聞くとは言っていないからです。これは、「へりくつ作戦」です。うまくいくかは不安ですが、これを言えば、よだかも少しは気が楽になるのではないかと思います。
「へりくつ作戦」!お見事です。
私たち講師も、クラスの子どもたちも「その手があったかー!!」とみんなびっくり。大いに盛り上がりました。
このお話を書いた賢治先生、100年後の子どもたちがこんなふうに自分の書いた童話を読んで考えている姿を見たら、きっと喜んでくれるに違いありません。
ちなみにこの「よだかの星」は、実際に今から約数450年前に観測された超新星「ティコの星」にヒントを得て書かれたのではないかという説もあるそうです。
ぜひ皆さんも読んでみてくださいね!